「さくらの雲*スカアレットの恋」感想 猫田みけさんの声のためにプレイしたけどタイムリープを活用したストーリーも秀逸でした

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ブログを始めてから5作品目のエロゲ紹介です。過去作品はこちらから。

過去にプレイしたエロゲ履歴まとめはこちら (だいたい270作品くらいあります)
1作品目は「MUSICUS!
2作品目は「極限痴〇特異点
3作品目は「まいてつ(共通ルート)(ハチロクルート)」
4作品目は「シンソウノイズ

5作品目は「さくらの雲、スカアレットの恋」という作品について論じるつもりです。

あらすじなどについてはすでにまとめてくださっている方がいるため「シュタインズ・ゲート」と比較しつつ感想を述べたいと思います。

 

「シュタインズ・ゲート」と「さくらの雲*スカアレットの恋」の比較について

なぜこの両作品を比較するかというと、同じくタイムリープが関わっている作品で、かつゲームシステムがよく似ているからです。

どちらも一本道ですが、個別ヒロインを重視するルートに入ると、本筋から外れて途中で個別ヒロインとのエンディングになるという仕様になっています。ヒロインの位置づけが全く対等ではない。

 

タイムリープという設定およびゲームシステムが類似しているのが共通点がありながら、物語の方向性が真逆というところが非常に面白い。

 

「シュタインズ・ゲート」は2010年秋葉原を舞台にする作品で、主人公は仲間とともに過去にメッセージを送れる「Dメール」や最初に自らの記憶を過去に転送する形式のタイムリープマシンを開発する。 その後ヒロインである「まゆり」が死ぬ運命を回避するためにに何度もタイムリープを繰り返します。こちらの物語では、運命は一定の閾値に収束する性質を持っており、そのことを「世界線」と呼びます。そして、主人公の目的は「まゆり」を救うために「世界線を突破=本来の歴史を改変」することです。

 

一方の「さくらの雲」は、2020年に生きていた青年が突如時空振動に巻き込まれる形でタイプリープを行います。たどり着いた先は100年前、大正時代の帝都。なぜ自分がこのような目に合うのかはわからないまま、この世界に自分を送り込んだ「アララギ」から元の世界に戻りたければ「世界の歪みを修復せよ」という指示を受けます。こちらの物語では、大正という時代背景もあって歴史は極めてブレやすくなっており、そのことを「歴史の枝」と呼びます。主人公は電報を使って短い情報だけを別の世界の枝に受け継ぐことができます。主人公の目的は一旦「元の世界に戻る」ために「歪みを取り除き歴史を本来の姿に戻す」ことに設定されます。

 

見ての通り、物語の方向性から、作品における時間事象のとらえ方までもがが真逆に近いです。

 

受動的すぎる主人公に違和感…?

シュタインズ・ゲートの主人公は極めて目的が明確で動機も強いです。つまり能動的ですね。なにせ「一番大事な人が生きている本来の世界に戻る」ために、肉体的にも精神的にも過酷なタイムリープを何度も繰り返します。一刻もとどまろうとはしません。ヒリヒリとした切迫感があります。

 

これに対し、「さくらの雲~」は極めて受動的です。タイムリープは初回にいきなり100年間もの移動が行われ、どのようにすれば元の世界に戻れるかを示されているにも関わらず、あまり積極的ではない。また、タイムリープについてあまり意識することはありません。まるで「異世界転生もののなろう小説」のようにこの世界になじみ、自分を拾ってくれた探偵所の所長のもとで、この世界での生活を受け入れていきます

 

これはタイムリープものに慣れているとかなり違和感を覚えるところですね。

中盤までは「これタイムリープである必要あった?」と思わされる展開が続く

タイムリープというかなり重要な事象を描きながら、それが主人公に強い動機を生み出さないというところがこの作品の特徴です。

実際、序盤の展開はとても平坦な日常描写が続き、3章までろくに盛り上がりがありません。一応探偵ものとしての推理要素などはありますがこれはお飾りのようなもの。4章以降の伏線を貼ることに徹しており、個人的な感想としては、3章までは単体ではとても退屈で、単体では評価できるようなものではなかったと感じます。(好きな人がいたらごめんなさい)

このあたり、推理ゲームである「シンソウノイズ」がゲームシステムまで含めてきちんと推理ものとしての楽しさを提供してくれていたことと比較するとちょっとな―って感じですね。

「シンソウノイズ~受信探偵の事件簿~」 ミステリものとしてより恋愛としてより、友情もののエロゲ作品が好きな人にお勧めしたい良作
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プレイ時間に対して得られる満足感が低い状態が続き、ちょっとしんどかったです。

とにかくここまでで気になっていたのは、「タイムリープものであること」にあまり意味が感じられないことでした。「主人公が未来の知識で俺TUEEE」するくらいしか役に立ってない。物語的にほとんど用を為してない。これだったら「異世界転生」ものでよかったのではないかとか、これだったら普通に「御神楽少女探偵団」みたいに探偵ものとしてやってもらえばよかった、という感覚すらありました。

 

わかってくるといろいろ伏線とか貼られててはえ~ってなるんですけどね。

4節(メリッサルート)のラスト~最終節から一転して話が盛り上がります

4章ラストは常識の裏をかく展開でちょっとびっくりしましたがやはりまだ退屈……。

 

しかし、ここでようやく物語に「対立」構造が生まれ、話が盛り上がり始めます。

 

・物語として主人公の敵である「魔人・加藤」の企みが明らかになり
・加藤の陰謀に関する人たちを「可視化してくれる眼」を手に入れ
・さらに物語冒頭から放置されていた「歪み」についても理解が深まる

これらの要素が一気にそろったことで、「いままでの物語が退屈に感じていたのは、裏側で起きていたことが見えていなかっただけだった」ということがわかります。

このあたりの認識がひっくり返る演出は見事だと思います。

 

今までの退屈な日常描写の裏側で、実は物語の舞台全体どころか世界全体を巻き込む事件が起きていたっていう展開は、わかってみると「すごいやん!」って思わされました。

 

さらに、プレイヤーである自分が敵である加藤のことに目をとられているうちに実は一番大事な「主人公の秘密」を見過ごしていたこと、にも気づかされます。

【重要】この作品は「タイムリープであること」(「異世界転移もの」ではなくて未来と過去が地続きであること)にちゃんと重要な意味があったことがわかる

この作品、たぶんプレイした人がみんな「怒涛の伏線回収が凄い」という感想になると思います。私は伏線が回収されたかどうかはともかくとして(回収されてあたり前でできてなかったらダメだと思っている)、この作品ではきちんと「タイムリープ」というでかいギミックを使ったことについてきちんと納得させてくれたことが一番大きいと思っています。(しかもタイトルと対応する形で)

 

私は、タイムリープのようなでかいギミックを使う場合

①物語的な意味(ほかならぬタイムリープでなければならない理由)
②タイムリープに対する主人公の明確な向き合い方・姿勢
③タイムリープするのが主人公であるべき理由

この3つがそろっているととても感情移入が強くなると思ってます。「さくらの雲」はきちんとそれを実現してくれています。

 

 

①まず、主人公の秘密とともに、初めて「タイムリープ」に物語的な意味が与えられます。この作品は異世界転生ものではなくきちんと歴史的に地続きの過去に飛ぶことの意味があることがここではじめてわかる。物語を車に例えると、設定への納得性は物語にエンジンがかかる必要条件です。この作品はここでようやくエンジンがかかったという状態になりました。

 

②そして、主人公の秘密が明かされることにより、主人公に明確な行動指針と動機が与えられます。今までここが不明瞭であったため物語を牽引するパワーが弱かったのですが、ようやく「タイムリープ」という重要事象に対して主人公がどう取り組むかが明確にされます。これによりことで物語がわかりやすくなります。先ほどの例えだとようやくこの物語はアクセルを踏み始めたことになります。

 

しかし、残る一つ。必然性がまだ与えられていません。なぜ「この時代に呼ばれたのが主人公だったのか」がわからない。しかし、すでに「タイムリープ」としての物語はすでに走り出したので、この謎は物語のブーストになります。

 

最終的に、この必然性の謎については「アララギの正体」「加藤の正体」「タイムリープ(タイムマシン)の正体」とセットで回収されることになります。この辺りの怒涛の回収ぶりはとても気持ちが良かったですね。

 

最終的には「感謝」と「切なさ」にあふれた良い終わり方でした。

そんなわけで、いくら何でも「物語」としての盛り上がりポイントの立ち上げが遅すぎるやろと不満を述べたいところですが、そのかいあってか、後半の怒涛のラッシュの密度はなかなか味わえないものであり、とても興奮させられました。そのままの勢いで最後まで失速せずゴールまで走ってくれたので「終わりよければすべて良し」というか、プレイが終わった後の感触はとても良いです。

最終的には、この作品に出てきた多くのキャラクターにもちゃんと愛着がわいており、ラストシーンはとても切なさを感じるものでした。それでいて、今我々の社会がベストでないかもしれないけれど、平和なものであることに感謝したくなるような、そんなお話だったと思います。

 

プレイが終わった後にさわやかな気持ちになれるエロゲがプレイしたい人にはめちゃくちゃお勧めできる良作だと思います。

1つだけ言っておくと……このゲームプレイするなら絶対に2020年の間にやった方が良いです。

余談:とにかく所長(CV:猫田みけ)が可愛いかった

上で述べたように、個人的には序盤から中盤にかけてがとても退屈でした。もちろん最後までプレイしたらちゃんと意味があったことがわかるんですが、いくらなんでも15時間近くだらだらとした日常描写が続く(しかも主人公が生真面目なものだから会話はそれほど面白くない)のはさすがにつらい……。

他のゲームだったら投げ出していたかもしれません。

でも、このゲームのメインヒロインである「所長」(本名は最終章にて判明)が本当にいいキャラクターだったんですよね。 彼女の声やキャラクターがとても好みだったので日常描写にも一定の潤いが生じ最後までプレイできたといっても過言ではないです。やはり声優は偉大!

『さくらの雲*スカアレットの恋』カウントダウン一ヶ月前

 

私お姉さんキャラがすごい好きなのですよね。すごくひょうひょうとしていながらポンコツで、何より面倒見の良い姉御肌なところが素晴らしかったです。

この所長の声優を担当してる「猫田みけ」さん、DB見てもこの作品以外出てこないのですが、本当に新人さんなんでしょか……。すごく気になる―。

コメント

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