あんまりエロ関係ないですが、今日遭遇したワード「おけけパワー中島」について衝撃を受けたので「おけけパワー中島」の話をします。
おけけパワー中島ってなんだよ?

この漫画に出てくる登場人物です。
「腐女子ってどうして腐女子同士で仲良く出来ないんですか?」という問いかけの答えが全て詰まった存在おけけパワー中島
— バーチャルバイコーンふとし (@oitadyna) July 3, 2020
メインキャラクターでもなんでもなく、あくまで作中のリプ欄に出てくるだけの端役だったはずなのですが、そのインパクトの強さから多くの人間の心を撃ち抜き、ついにtwitterにおけるトレンドワードにまでなってしまいました。そんなことってある?
「おけけパワー中島」という言葉自体が昨日からバズってるのは知ってたけど、まとめのおかげで内容を知ってこれはほんとすばらしいなと思った。ぜひ皆さんも読んでください。
本来語りえないこと(クソデカ感情)を自分の心の深層領域まで潜って語った素晴らしいお仕事
なぜ今までこの件について言語化がなされなかったかというと、「氷山の一角」モデルで説明できるだろう。
普段我々が言語化できることは極めて表面的なことだ。「氷山の一角」の氷山の上に表れている部分だけだ。
普段は見えていない「メンタルモデル」の部分まで息を止めて一気に潜り、そこにあるものを観測して言語化までしよう、とするのはかなり大変だ。まして「負の感情」をターゲットにしてその根っこまで掘り下げようとすると、受け止める準備がないものには心に致命傷を負う危険すらある。「深淵をのぞき込むものは以下略」とはまさにこういう行為をさすのではないだろうか。
上記まとめにあるマンガは、お話の主人公が「おけけパワー中島への嫉妬」という強い負の感情を掘り下げた上で、「綾城さんに認められたい」「綾城さんに戻ってきてもらえるくらい魂を込めて書こう」というプラスの感情で上回ろうとした結果、その二つが合わさって、他の人をも動かす創作につながるという形で表現されているのが素晴らしい。
多分違ったストーリーだったら「よくもこの感情に気づかせせてくれたな」と怒りをあらわにする人が出てきただろうしそれだけならまだましで、ショックを受けてタヒぬ人が出てもおかしくなかったかもしれない。
一人で対処するにはあまりにも手ごわかったクソデカ感情をみんなで共有して受け止めるという展開、少年漫画的で読んでてゾクゾクする
上のマンガでは描かれていないが、今までは人がこうした「おけけパワー中島」的存在と接したときに、この存在と孤独に向き合おうとすると自分一人ではあまりに重すぎて支えきれず、そのまま闇落ちしてしまう、というケースは数多くあったのだと思う。
しかし、マンガという形で、また一つの「概念」としてみんなが同じものを共有し、みんなでその「概念」について解釈するという作業まで共有することができた。重たいものでもみんなで受け止めれば冷静になって受け止められるかもしれないという希望が示された。
これは、本当に素晴らしいことだと思う。
おけけパワー中島氏を「神と渡り合える神創作者」とする解釈と「神ではなく人として接することができる普通の人間」とする解釈に二分していて興味深い
— 高田 (@34tkd1) July 2, 2020
私は上のまとめを見ながら、まるで突如地球を襲ってきた降ってきた隕石を、みんなの思いを合わせることで打ち返したり、あるいはせめてそれを静かに受け入れるという展開を思って胸が熱くなった。


ちなみにこの感情は別に女性オタク特有のものというわけではなく、男性にも当たり前のように存在します
さて、ここからが本題なのですが、「おけけパワー中島」概念は決して女性オタク特有というものではないと思います。
少年漫画で最もわかりやすくこの感情を描いているのは「ハンター×ハンター」のシャウアプフでしょうか。

Ⓒ冨樫義博「Hunter×Hunter」25巻
王であるメルエムを神格化し、絶対の忠誠を誓っているかわりに
②一方で、自分がそうやって王の行動や感情に否定的な感情を持つことも許せない。
この両面がものすごくしっかり描かれているのが素晴らしいですね。
(ハンターハンターの場合、それ以外にもいろんな感情がこの王に向けられていますよね。実際にキメラアント編における王とその他の関係について、男性読者とは全く違った観点で、自分の中の「神」と自分の関係を当てはめて悶えまくった女性オタクの人とかいたりするのでしょうか。)
「るろ剣」「ハイキュー」でも同じようなものが描かれたりしましたし、女性オタクの人は、このような人間関係を自分が好きな男性マンガに多く見出せるのではないでしょうか。
男性オタクがNTR大好きなのは「おけけパワー中島」的概念をこの形で消化していたからかも?
男性は「格」をめちゃくちゃ意識してしまう悲しい生き物なので、ある意味女性以上にこのあたり敏感なところがあるように思います。私自身、創作じゃなくて現実においても「おけけパワー中島」的な存在にめちゃくちゃ心当たりがあります。ここでしか書けないけどすごい嫉妬してます。
ただ、女性オタクほどそれが目立たないのは、その感情をあんまり表に出さないだけです。男がそういう感情を表に出すことはそれこそ「女々しい」「はしたない」として子供のころから否定され続けているからです。もしそういう感情を表に出そうものなら、「そんな感情を表に出してる暇があったらその分努力してそいつに打ち勝ってみろ」ってボコボコにされるでしょう。
でも、男だって本当は「おけけパワー中島」的な存在に対して、並々ならぬ感情を持っています。「正攻法で戦おうとした結果チャラ男に寝取られる作品」は男性オタクのエロ同人の定番人気作品だったりします。

↑この作品は本当に名作なのでぜひ読んでみてください。
「おけけパワー中島」という概念が出たことで、今後の女性オタクのクソデカ感情語りにどのような変化が出るのかとても期待しています
いろいろつらい点もあるとは思うのですが「クソデカ感情を長文につづって表に出してもバカにされない・ドン引きされない・むしろ共感される」という点だけにおいては、女性オタクは本当に恵まれていると男オタクである私は思います。なので今後も引き続きクソデカ感情をつづった怪文書を提供し続けてほしいなと思います。ああいうのって、一人の男性オタクとして読むと「めちゃくちゃ気持ち悪いな」と感じる一方で、ぐいぐい読ませるパワーがあってほんとすげー!!!っていつも思います。
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