「まいてつlast run!」がもうすぐ発売するのでいまさらながら「まいてつ」をプレイしてみた感想 (後半・ハチロクルート)

エロゲ

「まいてつ」の世界観をベースとしたオリジナルアニメ「レヱル・ロマネスク」アニメ化放映開始前に、原作である「まいてつ」の世界を知っておきたいということで、いまさらながら「まいてつ」をプレイしてみました。

 

前半部分である「共通ルート」については前の記事でまとめています。

「まいてつlast run!」がもうすぐ発売するのでいまさらながら「まいてつ」をプレイしてみた感想 (共通ルート)
2016年に発売された「まいてつ」の続編にして完結編である「まいてつ Last run!」が2020年10月30日に発売されることが決定しました。 元々は7月発売予定でしたが、コ〇ナの影響で延期になった形です。 なお、2020年秋には...

紆余曲折を経て「8620機関車」の試運転成功までこぎつけた主人公たち。

いよいよこれから本格的に町おこしにつなげていこうということになるが、その際主人公は

・ハチロクとともに、機関士として8620機体についてより知っていくことにするか
・市長のポーレットとともに、市政にかかわる立場からこの取り組みを支えていくか
・イラストレーターのヒビキとともに、街をよく知って広報活動で貢献していくか

を選ぶことになり、この選択によりシナリオが分岐します。

このブログでは一番上の「ハチロク」ルートだけ紹介します。

機関士として生きることを選択したハチロクルート

このルートを要約すると「主人公が鉄道のことをよく知りながら、ハチロクと手を取り合って過去の事故によるトラウマを乗り越えるお話」です。主人公自身の心の問題に深く踏み込む、メインルートといってよいと思います。

まず現在の取り組みを外部の人に広く知ってもらうため「8620通信」という名前の媒体を発行し、外部の人にアピールしていく

というわけで機関士としてハチロクとともに「8620」を町おこしのために磨き上げることを選んだ主人公ですが、まず最初にやることは広報活動でした。

 

主人公が機関士の仕事をしながらカメラの使い方を覚えて8620の美しい姿を撮影します。それに合わせて、ハチロクが蒸気機関車の内部や動く仕組みなど、その魅力を伝えるコラムを書き、さらに、写真やコラムと合わせて妹であるヒビキが列車のイラストを描いて解説します。

ボロボロになっていた8620が少しずつ整備され、美しい姿を取り戻していく様子や機関車の構造を情報発信していくんですね。

(※この作品の舞台は現代にない技術もありますが、通信環境としては現代より少し前の時代でインスタやツイッターはありませんが、インターネットやウェブページは存在するというくらいだと思ってください)

 

8620の機関車にふさわしい客車をどうやって入手する?

そうやって広報活動をしつつ、実際に観光業として運行を始めようとするわけですが、まず最初に頭を悩ませたのは「客車」をどう入手するかという問題でした。

そもそも8620機関車は「国産第一号の量産型機関車」であり、しかもハチロクの機体はその中でもトップナンバーの貴重なもの。鉄道を愛好する人たちにとってとても価値があるものでした。

とはいえ、今主人公たちのもとにあるのは8620機体の先頭車両、機関部分だけです。これでは展示素材にはなっても「観光列車」としては物足りません。もちろん他の客車を連結することもできますが、それでは見た目や雰囲気がちぐはぐで8620機関車に乗れる贅沢な体験」を提供することはできません。なんとしても8620機体にふさわしい客車を手に入れる必要がありました。

もちろんそのためにはまたお金がかかります。しかしただでさえすでに4億円の借り入れを行っており、担保も限界まで積んでおり、にっちもさっちもいかない状態でした。

8620通信での取り組みの縁もあって「まいてつ」のネットワークによって救われる

ここで主人公たちを救ってくれたのは「まいてつ」でした。

この世界では、富裕層や一部の電鉄が鉄道車両を個人レベルで所有できる仕組みになっており、そうやって個人的に鉄道の機体を保有する人たちを「まいてつ」と呼びます。「馬主」とか「一口馬主」と似たような関係ですね。(※実際には鉄道車両ごとに人間と意思疎通が可能な「レエルロオド」という存在が存在するため、単に金銭面だけの問題ではなく精神的なつながりも必要になります)

主人公とハチロクも「まいてつ」なのですが、日本国内には他にもまいてつがいて、その中の一人、広島鉄道のオーナーが8620通信での情報発信が縁で客車の提供をしてくれることになります

いろいろな苦労がありましたが、それにめげずに取り組みを続け、情報発信も行ったことでついに機体の問題は解決し、あとは観光列車として運行を開始するだけになります。

これでいよいよ必要なものがすべてそろった……あとはうまくいくはずと思ったところに落とし穴が

実際にこの後運行は開始します。
細かい問題はありましたがその都度解決していき、「バーベキュー列車」などイベントも催され滑り出しは順調でした。

後はうまくいくはず……となるところでしたがまだまだ試練の時は続きます。

ハチロクの様子がおかしい……

客車を運行する前までは何の問題もなかったのに客車を運行し始めてからしばらくすると違和感が生じ始めます。

ある時から線路には異常がまったくないのに 運行中になぞの振動音が聞こえるようになってきたり、ハチロク自身が運行中にぼんやりしていることが目につき始めます。

また、ハチロクだけではなく、主人公も雨の日になると運転が乱暴になるなど「なにかがおかしい」という状態になるのですがそれが何かはしばらくわからないままでした。

検査などでは明らかにならないところで、ハチロクの8620機体は致命的な問題を抱えていた

二人とも不安を抱えながらもそれを口に出せずに頑張っていたのですが、ある時整備の際に主人公は8620機体の致命的な問題に気づきます。

問題があったのは列車の生命ともいえる足回り部分。台車でした

8620機体には検査に出てくるようなヒビや傷はありませんでした。しかし、目に見えない形で全体がゆがんでいたのです。足回りに負担がかかりすぎて「台枠(足回りの部分)」がゆがみ、ねじれ、ひずむところまで来ていたのです。

試運転の時には問題なかったのですが、もともと8620機体は事故の影響で土台にダメージを負っていた上、客車を引かせ、さらに安全を意識しすぎて追加装備をどんどん重ねた結果としてさらに重量が増していました。これを無理に運行させたせいで取り返しがつかないところまで来ていた。

知ってしまったからには見て見ぬふりはできません。主人公とハチロクは難しい決断を迫られます。

ハチロクの8620機体が永久に壊れることを前提にしてあと1~2年運行を継続するか、工場誘致案反対運動をあきらめてハチロクを守るか

これが主人公とハチロクだけの問題であれば、いったん運行をストップしてハチロクを守るという選択を迷わずとれたかもしれない。

でも、8620機体による観光列車の運行は「オヒトヨ市」や「くま川鉄道」の将来を背負ったプロジェクトとなりつつあり、すでに大勢の人間がかかわっていた。何よりも、工場誘致を阻止して観光列車を成功させることは主人公自身の悲願であった。

ハチロクは「客の安全第一」を捨ててでも主である主人公の夢をかなえようとし、主人公は「ハチロクの身」を案じて休止しようとする。ここで両者の間で致命的なすれ違いが生じる

過去に事故を起こし、乗客数名を死なせた上大事なマスターを失った過去を持つハチロクは、本来「病的なままに安全を守ろうとする」存在だった。
なので、当然このゆがみに前から気づいていた。 己の意志ではとっくに運行を停止するべきだと気づいていた。 しかし、ハチロクは「レイルロオド」であり、主人公の道具でもある。

それゆえに「工場誘致を撤回させたい」という主人公の願いを第一においてしまった。己を信念を曲げてまで無理な運行を継続しようとして主人公に8620機体の異常を黙っていた。

そして、その異常が明らかになっても、「工場誘致の撤回」までは大丈夫。その後自分はどうなっていもいいから運行を続けてほしいと言い出す。

これは主人公には到底承服しえない話だった。なぜなら、主人公も過去に列車事故で家族を失った身であったからだ。それ以来、自分の無力で自分の大切な人が失われないようにという思いでずっと頑張ってきた。

なので乗客にリスクがある運行を強行することなどできなかったし、何より「ハチロク」のことが大事だったから何としても別の解決策を見つけなければいけなかった。それまでは運休やむなしという判断をする。

こうして、二人はお互いのことを大事に思いながらすれ違ってしまう。

主人公は急場しのぎをしつつ、ハチロクを復活させる方法を考える

幸い、くま川鉄道にはもう一台だけ列車(レイナ)があったから、対外的にはメンテナンスと称して急場しのぎとしてそちらに運行を引き継ぐことで急場をしのぐことはできた。

また、ハチロクの足回りの負担に対しても、応急処置的なものは可能であった。「粘着力の強さ」を弱めるか「エンジンのトルク」を落とすという対策だ。前者は可能だったのでエンジンの出力を落とすという対策を取らざるを得なかったがそのようにしようと決める。これでさらにもう少し時間は稼げるようになった。

ただ、これは長く持たないし、根本的な解決にはならない。

何より問題だったのは、主人公とハチロクのすれ違いだった。ハチロクは自分の身を永らえようとは思っておらず、これ以上の処置を望まなかった。主人公はまずハチロクときちんとコミュニケーションをとることが必要になる。

主人公とハチロクはどちらも不器用な二人だった

今までのハチロクは、ただ主に従い、主の望みをかなえることだけを考えていた。 主の本当の望みがどこにあるかを知ろうともせずに。

今まではそれでうまくいっていた。主と自分の向いている方向は常に同じだと思っていた。 しかし、行き違いがあったことで主のことがわからなくなり、 その認識の差を埋める必要にせまられて、 混乱してしまう。ハチロクは、主人公の決断の理由がわからなかったから、自分の願いを拒絶されたと感じて心がつぶれるような気持になっていた。

そうやって悩んでたハチロクに、主人公の妹であるヒビキがズバッと指摘する。

「二人とも似た者同士だね。  心の大事なところから、ずっと目をそらし続けてた同士」
「行き違いはあって当然よ。  行き違いばこわがってたら、にぃにとは二度と話ばできんよーになるとよ」

ここではじめてハチロクは主人公に本当に向き合おうと決意する。

 

主人公は主人公で自分が見えなくなっていた。

もちろんハチロクを守るのと自分の目的の両方を守ろうとしていた。 そのために、8620の今までの活動を通じて知り合った人たちに助けを求め さらに支援の輪を広げようとしていた。

しかし、そのことをハチロク自身にはちゃんと伝えきれていなかった。 そのことでハチロクを絶望させてしまったことを悔やんでいた。そのことがきっかけで、かつて最愛の妹を失ってしまった過去の記憶が反芻される。 また過去の自閉状態に陥りそうになる。

 

主人公とハチロクは、お互いの過去をさらけ出し、心を通じ合わせる

つぶれかけていた主人公のもとに立ち直ったハチロクが駆けつける

体調が明らかに悪そうだった主人公を心配するハチロク。いつものように何でもないと取り繕って距離を取ろうとするが覚悟をきめたハチロクは踏み込んでくる。 そして、ついに過去のトラウマ話をハチロクに打ち明ける。

 

実は、どちらも同じ事故(富士川橋梁崩落に伴う脱線事故)の当事者だったのだ…!

(※いや、プレイヤーとしては「知ってた」って感じなんだけどね。散々引っ張ってきたけれどようやくお互いそのことを認識したということで)

主人公の家族を奪った脱線転覆事故は、ハチロクが意図的に起こしたものだった。台風で崩落をした鉄橋を避けて手前で止めるためにわざと転覆させ、その結果として多くの人の命を救うことにはなったが、主人公の家族の命は奪われてしまった。 過去の事件を調べれば一発でわかることだったのに二人ともそのことから目をそらして今まで付き合ってきた。 二人とも目をそらしていた事実に直面し、一瞬だけ立ちすくんでしまう。

それでも、祖父が家財を傾けてまで主人公とハチロクの双方を引き取って引き合わせてくれた縁を思い、二人は落ち着いて話し合うことができた。すでにお互いのことがかけがえのない存在になっていたのだから、それだけで許す許さないの関係になるはずなかった。

主人公はハチロクを許す。 しかし、それだけでハチロクの心が晴れるわけもない。むしろますます「私の復旧を望むのは私たち二人のエゴではないか」と自分を責める。でも主人公はそれを認めたうえで二人で前に進もうと提案する。

「傷は痛むし、罪悪感はぬぐえはしない。
それでも、僕は――お前と出会えて幸せなのだ。出会ってずっと、この瞬間も。
ともに懸命に頑張ることが、僕は幸せでとても楽しい。
周りに認められるなら。誰かの役に立てるなら。
動機がたとえエゴでも欲でも、それは幸いに変わるのだ

「そうですね。 あの子はもう、私だけの8620ではなく、オヒトヨの8620になったのですから」

「僕にはお前が必要だ  ハチロクをもしも失うのなら――、僕は生きていない僕へと戻る。  だから、ハチロク。これからも僕のそばにいてくれ」

8620が存続を望むことはエゴではないと否定しつつも、 主人公はエゴでも良いと認め、さらに自分のエゴをハチロクにぶつける。

主人公は事故の後、自分自身の欲を持つことができない人間だった。 今までの仕事も、自分のためではなくみんなのためだった。 初めてハチロクにだけは自分だけの欲を持つことができた。 だから、その思いを失いたくなくて必死だった。その思いがハチロクをつなぎとめる。

こうして過去をさらけ出した二人は、あらためて深く心をつなぎなおすのだった。

二人の心の問題は解決できた。後に残った問題は8620の補修をどうするか

8620のゆがみの原因は特定された。

事故の時の損傷も原因の一つではあったが、根本的にはそもそも足回りの「台枠」に「板台枠」というつくりを使用していたことが原因だとわかる。この台枠は、もはや板の素材そのものが存在しない。 これは手詰まりか……と思われたが、ここでもまた「まいてつ」のネットワークが力を発揮する。

8620が量産型であることを活かし、「他の姉妹機から台枠を譲り受ける」ことが可能だからだ。

日本車両 会社概要
日本車両は、新幹線、杭打機、バルクローリ等で国内製造トップを誇るインフラストラクチャー創造企業です。名古屋に創業して120年、これからも、産業の高度化と社会資本の充実に役立つ製品を提供し、より豊かな人間環境づくりをめざします。

このうち、「日本車両製造」(現在でもトップメーカー。上場企業)で作られた機体であれば流用が可能ということがわかる。結局、名古屋で静態展示されていたものが利用できることになった。

最終決戦 オヒトヨ市議会での予算承認決議

こうして、機体の問題は解決した。

後はオヒトヨ市議会にて、産業として認められるかどうかという課題だけが残った。

主人公はポーレットの奮闘と、ヒビキの広報協力を得て会議に臨む。

今回の様々な奇跡によって支えられた成功について再現性や継続性に疑義が唱えられるが

・オヒトヨ市単体で考えるから厳しく思えただけであって、全国に点在する鉄道資源を交流させることで必ず解決できる
・鉄道資源ネットワークの先駆けになることでアドバンテージを得る
・鉄道の存続はエアクラ産業の発展と競合しない。それどころか共存可能

などを主張し、さらにSL観光の起点としてオヒトヨ市を産業の集積地・観光拠点として繁栄させるという「蒸気のふるさとオヒトヨ市」→「大九州SL構想」を打ち立て、無事予算承認を得る。

この後は持ち株会社設立などで、対立していた銀行側からの協力も得て、ついに主人公たちは悲願であった「工場誘致撤回」と「くまがわ鉄道復活」を達成するのだった……。

ここからエピローグ部分が続きます

ストーリー的にはここで終わりです。後は主人公と「まいてつ」のラブラブイチャイチャの展開になります。興味がある方はこちらでご確認ください。

まいてつ ハチロクルート感想 - DLチャンネル みんなで作る二次元情報サイト!
個別ルート3人分の感想をまとめて書こうと思ったら、1キャラのルートだけでも膨大な分量でした。 おそらくアニメ化されるであろうハチロクルートだけ取り上げておきます。 嫌がおうにも続編「last run」への期待が高まりますね。

 

最後に続編「まいてつ last run!」の紹介

大変面白いゲームでした。

この「まいてつ」だけでも十分面白かったのですが、最新作にして完結作である「まいてつ last run!」はこの作品をさらに発展させた内容になっています。

まずメインシナリオの分量が多い!

●『ハチロクシナリオ』Main Story →After Story
●『日々姫シナリオ』Main Story →After Story
●『ポーレットシナリオ』Main Story→After Story

●『凪・ふかみシナリオ』
●『稀咲シナリオ』
●『真闇シナリオ』
●『れいなシナリオ』

上のまとめを読んでくださった方であれば、1シナリオのボリュームがそもそもすごいということがわかっていただけたかと思いますが、「last run!」ではもともとの3キャラについてはAfterStoryが用意されているほか、本作で登場したその他の魅力的なキャラクターたちのルートも用意され、さらに作品が深まっています。

とはいえ、それだけでは物足りないところ。
私が期待しているのは「数年後」を描いた「まいてつ2」といっても良い完全新規ストーリーです。

●『グランドシナリオ』
●『ニイロクシナリオ』
●『仲国シナリオ』

「まいてつ」というのは応援したくなるような、この先もずっと幸せが続いてほしいなと思うようなシナリオでした。そういうシナリオで、数年後を描いたシナリオで「グランドシナリオ(みんなが幸せになることを目指すルート)」が用意されているというのがものすごく楽しみです。

 

本当に良い作品なので、ぜひ皆さんにもプレイしてみてほしいです!

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