伝説の風俗嬢を描いた一冊「ちひろ」「ちひろさん」(安田弘之)の感想、紹介! 実は私も風俗嬢!

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こんばんは、変態女のさやかです。

 

今日はちょっと趣向を変えて、読み物形式で作品を紹介していきます。

……今日は、わたしの、人によっては「後ろ暗い」と思うような。
でも、わたしにとっては「夢のような」お仕事をしていた時間を。
その仕事をしているわたしを全肯定してくれた作品を。

 

私の一番好きな漫画を。紹介していこうと思います。
ちょっと話の前置きが長くなりそうなので先に置いておきますね。紹介するのはこの漫画です。

 

「ちひろ」

風俗嬢です。今日私がどんなお話をするのか、察してください。

 

ちひろ 上
「どんなダメ男も受け入れてあげる」。風俗嬢・ちひろが出会った、みにくく、あたたかく、せつない、人間たちの物語。(C)安田弘之(エレガンスイブ・秋田書店)

 

誰からも評価されなかった暗黒の青春時代

私は家庭の事情で、ふつうの学生生活を送ることができませんでした。具体的には海外にいた時期があったり、私の受験時期などお構いなしに引っ越しがあったことです。(弟の受験の時期は考慮したのに、私の方は考慮が無かった……というのは後々まで大きなトラウマとなりました)親は私は女だから結婚したらキャリアなんて意味ないから適当にお見合いでもしなさいと言いました。考え方古いですよね。。

 

私は親元にいたら自分のやりたいことが何一つできない、と判断し、18歳で完全に独立しました。友達が誰一人いない状態で、学校はほぼ夜間で卒業しました。(昼の部は二次募集が無かったとかそういう事情です……)

 

それでも、18歳になって一人暮らしを始めて、昼間はフルタイムで会社勤めをしながら、夜だけ大学生になりました。学校を終えて帰宅すると23時過ぎ。翌日は6時には起きなくてはならないけど、課題もやらないといけない。シャワーをすませて夕飯もそこそこに課題をやり、寝落ちして朝が来て会社に行って、眠い中なんとか仕事をこなして、会社が終わると学校へ行って課題を提出し、眠い目をこすりながら講義を受けてまた帰宅して……という生活。夜間だから土曜はフルタイムで講義。いったい私はいつ眠ればいいのか。

正直、眠さで死ぬかと思いました。

 

成人式? 知らないですそんな行事があったの。テレビに着物の女の人が映っているのは知っていましたが、どこかに集まるなんて知りませんでした。そもそも友達が誰もいない地域で成人式というものに出ても楽しくないのではないでしょうか。そのくらい孤独でした。(今は成人式のシステムは存じております)

でも念願かなって単位を取り、取るべき資格とおまけの資格をもきちんと取得して卒業し、目的としていた仕事に就ける準備が整いました。

 

しかし、今度は就職活動をするための知識がない。友達がいないから、どうやって就職活動するのかわからない。学校の就職課へ駆けこんでも、夜間の人のために残っていてくれる方は数名で、話すことも難しい状態。とにかく、最悪の状態で卒業しなければなりませんでした。

 

私は、私が取った資格と全く関係のない、誰にでもできる仕事に就きました。生活していくためです。やる気が出ないので毎日怒られていました。やる気を出すために「これは最終的にどのような商品になるのでしょうか」等の質問をしても「いいから手を動かせ」しか言われませんでした。

もらえる給料はとても安く、安普請のアパートから職場に通うだけの毎日。楽しいことなど一つもない。美容院に行くお金もない。王子様? 知るかそんなの。なんで自分の力で幸せになれないからって誰かに依存しなきゃいけないの。私はそんなの嫌。

 

そのうち、とても自然に私は死ぬことを考えました。

逃避のための死ではなく、私の言いたいことをわかってもらうための死。生きたままの私が発言しても誰も聞いてくれないけど、死ぬこと前提で何らかのメディアに取材をしてもらえば、もしかしたらこの思いが届くのではないか……そんなことばかり考える日々。

 

 

今回文字が多いのでたまに表紙画像入れますね!

 

負けてたまるか! 風俗の世界へ入った私

いやいやいやいや、おかしい。

死ななきゃ証明できないなんてこと、ない。生きてこそ伝えられる機会がある。誰かの余計な解釈も入らずに伝えることが、できるはずだ。だから私はまず生活を立て直すんだ!!

 

王子様に頼るのは嫌でも、仕事で性的なサービスを一生懸命頑張って、正当な報酬をいただくのは、けして悪いことではないと私は考えました。絶対後悔しない自信がある。未来永劫、会う人全員に、これから自己紹介のように言ったって構わない。(実際今いる親友は全員私が風俗をしていたことを知っています)

 

いろんな求人を見ましたが、見た目で勝負が決まってしまう〇田新地のようなところは避けました。それよりお客さんがお話や癒しを求めてくれる場所で、精いっぱいのサービスを行えば、絶対に指名が取れると思ったからです。

結局私は「SMクラブ」で働き始めました。

SMって、信頼関係がないとプレイが成立しないので、とにかくお互いに相手の望むことを察したり、あ、これ以上やったら痛みだけになるな……とかいろいろ考えることがあります。また、プレイ相手として固定されてくると(指名をもらう、ということです)、相手の家庭環境、パーソナリティ、外で見せてる顔、私だけに見せたい顔……いろんな顔が見えてきます。

 

私は記憶力がいい方ではないので、すべてのお客様と話したことをメモに取る時間をもらうことを、店長にあらかじめ話してありました。本指名の時は、誰が来るのかあらかじめ名前を教えておいてもらうこともお願いしました。(メモを見返して、前にどんなプレイをしたか、何を話したかを思い出すためです)

 

死ぬほど努力する! ということがこんなに楽しくて充実するんだということを初めて知りました。
やる以上は、一流になりたい、と強く思っていました。

 

 

 

風俗嬢は売れると楽しい!

私は死ぬほどの努力を人生で初めてしました。

お客様のことを覚える。会ったらすぐ前回の話の続きをする。人間としてひとまわり成長しないとお客様のお話についていけないから、わからないことは「それなんですか? 勉強してきます」と言って必ず勉強して次にお会いする。

陽キャで「わかんないー」と言ってしまうのではなく、私はあえての文化系女子キャラで売っていきました。三国志も新選組も知らなかったけど、この仕事をしている間に覚えました。

誰からも求められてないけど、勝手に、本屋で棚に平積みになってるビジネス書を片っ端から読みました。お客さんのカバンの中にたまたまその本が入っていると「あ、私も今それ読んでるんです。面白いですよね」と世間話をしていました。

 

知識の面だけではなく、私は本を多読することで心が常に安定していたのだと思います。指名が欲しいと焦る気持ちになることなく、自分にできることを毎日コツコツと積み重ねる。そして結果を出す。そのサイクルをうまく回すことができました。

 

結果として、週4日出勤して、本指名のお客様でしっかりと予約が埋まるようになったのです。人生で初めての成功体験。ネットに顔出しはしていなかったのですが、ナンバー1も結構取れました。

お金の心配がなくなり、ひどすぎる環境のアパートから普通の学生が住むようなきちんとしたアパートへ移り、不用品を処分して生活をすっきりさせました。学生時代にやっていた器械体操を生かして、SMクラブのお仕事が無い日には体操教室のインストラクターもやりました。

 

そうやって、昼の顔と夜の顔みたいなのを持っていると、私の心には常に「世の中を冷めた目で見る」自分ができあがっていきました。でもある日思ったのです。これが、大人になるっていうことなんだと。

 

 

 

ちなみに恥ずかしいのであまり言いたくないのですが……得意プレイはイラマチオと全身舐めでした。好評をいただけてうれしいです(照)

SMクラブなので、いろんなリクエストがありました。聖水プレイでお客様に私の聖水を浴びせること、またその逆も。あとはありとあらゆるおもちゃを試されたこともありました。首輪を付けられて、ラブホテルの廊下を四つん這いで歩かされたこともあります。

キツいプレイだと、縄で吊られるのが厳しかったです。。片足がギリギリ地面に着くかつかないかの状態で電マ責めをされたとき、とうとう耐え切れず体勢を崩し、お客様に支えていただいてしまいました。。いいよと言われていないのに勝手にイッて、しかもお客様の手を煩わせたので、お仕置きをたくさんしていただきました。

 

目隠しの状態でベッドの四隅に両手両足を固定され、ロウソクで責められたと思ったら、また電マを当てられました。1度や2度イッても許してくれる気配はなく、結局私が痙攣して気を失うまでお仕置きを受けました。

 

……ふつうは、そこまで責めるのはNGだと思います。でもそのお客様は私を10回以上指名してくれていたので、私は「やめてサイン」を出しませんでした。わたし自身、たまにはタガがはずれたようなプレイに身をゆだねてみたいと思ったし、その時のお客様の責めている顔には一筋の汗が流れて、本気で私をめちゃくちゃにしている興奮を感じていると思ったからです。

いつも、なんだかんだで手加減してくれたり、「やめてサイン」を出したら「おー、キツかったか、ごめんごめん今日ここまで!」とやめてくれたりする、紳士なお客様でした。

この日は……きっとお仕事で何かあったのでしょう。私のことを縄で吊っている時の顔で、私は今日はこの人の奴隷になろう、そう心に決め、ギリギリの状態でも絶対に「やめてサイン」を出さなかったんです。
※風俗、特にSMクラブでは「この言葉を言ったらやめる」みたいなのが決まってることが多いです

 

結局、後からめっちゃ謝られて、次の予約の時はモスバーガー食べながらお話するだけという回を設けてくれました……高いお金払ってるのにこっちが申し訳なかったです。。でも、あの時のモスバーガーはすごく美味しかった。満面の笑顔でホテルの部屋で、モスバーガーを食べながらSMのお話をたくさんしました。

売れている子は何が違うかとか、続けていくために必要な生活ルーティンのこととかも教えてもらいました。そのお客様を通じて、私はSM雑誌も読むようになったりして、プレイがすごく上達したと思います。ほんの少しですが私はそのお客様に対して恋心があったのかもしれません。外で会うことはなかったけれど。

 

いろんな、いろんなお客様がいました。どんなお客様ともお別れの時間はとても名残惜しかったのです。せつないなあ、もしもう来てくれなかったら今日で最後なんだなぁと思うと寂しくなって、ホテルの部屋を出る前に、私は必ずお客様にキスをしていました。どんなキスかは内緒です。(これ、後で思うとめっちゃ本指名につながってたと思いますw やだ私、あざとい。。)

 

M男さんともプレイしたことあります。私は痴女系女王様ならいけたので、「ドM」までいかない「Mっ気のあるお客様」は結構いました。そういう方はプレイの最後にぎゅーっとしてあげると喜んで甘えてくるのでかわいかったですね。執拗な乳首責めや寸止めで、なかなかイカせないとか、プレイ中はギャーギャー騒がせてましたけど……

 

 

 

さて、今日の本題に移ります。

私はSMクラブの仕事を通じて、要領の良さを身に着け、人脈を作ることに成功し、そしてある程度のお金を貯めて、昼間の希望の職種に就くことができました。お客様全員に、やめる日をお伝えして、最後のプレイの日には、連絡先を交換しました。でも、どなたも連絡してきたりはしませんでした。

「さやかが困ったときだけ連絡してきたらいい。僕からは連絡はしないよ。そのための交換。」

みなさんそう言って送り出して下さったのです。今思い出してもお客様のご厚意に涙が出ます。

私は自分で切り拓いた人生に納得しつつも、どうしても自分の「SM嬢だった」という事実を誇っていいものか微妙だった時期がありました。そんな私に「私は私のままでいい」と教えてくれた漫画があります。それがこちら。

この漫画は、ブックオフで歩き回っていたらたまたま初版本があって手に取ったのです。もう運命としか言えないですね。
※その後、表紙が違うバージョンを新品で一冊。初版本がたまたま新品で売っていたので一冊購入しました。やっぱり大切な作品は新品で私のところにきてほしいのです。

 

「ちひろ」を惜しみなく紹介する!!

サンプル試し読みはコチラから

 

物語は「ちひろ」がファッションヘルスで働いているところからスタートします。
「ちひろ」はプロの風俗嬢。
さあ「ちひろ」の世界へようこそ! 商業誌でここまでやるか!? というくらいエロくて心に刺さる「ちひろ」の世界を味わってみてください! どのページもクリックすると大きくなるよ!

※私が持ってるのをおすそ分け程度なので、一話丸ごと、とかではないですが、商業誌なのにちゃんとエロいことと、物語の深さを知っていただくために少し多めにサンプル載せます!

 

 

 

……いかがでしたでしょうか。

これが、二次元の世界で私が一番あこがれている女性です。大好きです。彼女が「ちひろ」です。
私はちひろに少し似ているところがあります。

 

お客様とはプレイ中は恋人のように接するところ、でも線引きがめちゃくちゃきっちりしていて、誰とでも寝るわけではないところ。

たまに誰でもいいからセックスして気分を晴らすところ。自分を見下してくる相手を上目遣いしているふりして、実はちひろの方が相手のすべてを見切ってしまっているところ。

意外と女友達から好かれるところ。

ちひろは本当に可愛いひとです。そして深くておそろしい人でもあります。そんな人に共鳴できる自分がとてもとても嬉しいです。風俗やっててヨカッター!!(今はやってないです)

 

「ちひろ」上巻、下巻は風俗店の話に終始します。1コマも息を抜ける場面がないくらい素晴らしい作品です。

ただ、ちょっと絵柄が古いと感じる方がいるかもしれません。
そんな方には、わりと最近発売されたこちらがおすすめです。

 

「ちひろさん」

 

「ちひろ」の後日談です!

風俗嬢をやめたちひろが、数年姿をくらまして、ぽっとお弁当屋さんで働き始めます。
風俗嬢がお弁当屋さんになる話が面白いの!? と思われるかもですが、これが最高なんです!!

 

「ちひろさん」 は元風俗嬢であることを隠さない

面白いのでもうぺたぺた貼りますよ!!

 

現在まだまだ先まで立ち読みできます。太っ腹だな!!

「ちひろさん 1巻」を立ち読みする

 

 

 

私と「ちひろ」さん

正直、こんなキレイな人と自分を比べるなんておこがましいと思いますが、私はこの初期「ちひろ」の頃も、妙齢(28歳くらい?)の「ちひろさん」になってからも、首尾一貫したその態度に憧れます。

風俗嬢であったことを周りの人に隠さないところ。
いつも上機嫌で過ごしているところ。
自分が大切にしている人が傷つけられたら全力で守りに行くところ。
イヤミを言われてもスルーするところ。
一人でいる時間に、心を開放して自由になっているところ。
変わり者の友達がいるところ。

 

 

私はこんな人になりたいと思っていたし、今少し近づけている気がして、実はとっても嬉しい。

 

こんなところでカミングアウトするなですが、私は元、風俗嬢です。黙っててごめんなさい。
その仕事はとても楽しくて、私を自由にしてくれて、少し賢くしてくれました。

 

世の中は変わらないけど、自分の行動は、変えられる。
生まれてくる場所は選べないけれど、住む場所は頑張れば、選べる。

これからも希望を失わずに生きて行こうと思うので、よかったら私も、ちひろさんも応援してください!!(作品気に入ってくれたら、それぞれのリンクから買ってくれると私とても嬉しい……)

 

ちひろ 上
「どんなダメ男も受け入れてあげる」。風俗嬢・ちひろが出会った、みにくく、あたたかく、せつない、人間たちの物語。(C)安田弘之(エレガンスイブ・秋田書店)

 

ちひろさん 1
元風俗嬢、ちひろ。海辺の小さなお弁当屋で働く彼女の元にはいろいろな悩みを抱えた客がやってくる。恋愛、仕事、家族、自分自身…ちひろが導く答えは?多くの人を救った傑作、新作で復活!!...

 

ちひろの矜持は「人の血を吸って生きることもできた。でも私は、その道を選ばなかった」です。

 

 

私がこれまで読んできた漫画の中で一番好きな作品がこれです。

 

たぶん、このサイトはもうすぐ、エロサイトとして一段階大きくなる。そうしたら、もうこんな自分語りのエロ無し記事なんて書くこともできなくなるかもしれない。(その分別の意味でめちゃ面白い記事を書いているとは思いますが)

 

だから、今のうちに。
わたしの秘密や、本当に好きなものの話を、小さな声で届く範囲に届けられているうちに。

書き残しておきたかったのです。

 

私は、確かに風俗嬢だった。
「ちひろ」と同じだった。

今の私は風俗嬢じゃなくなった。
「ちひろさん」と同じで、あんまりそれを隠したりしなかった。

 

悩むことも、つらいこともあるけれど、私は自分が好きです。
作中、「ちひろ」はどこかへふわっと消えてしまうことがあります。そんなところも私はよく似ています。私もあるとき、ふわっといなくなることがあります。

人に約束を求めない代わりに、自由に生きる「ちひろ」「ちひろさん」。

私もそんなふうに生きたいです。

今日も最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。
最後まで読んだ人も、これから私のことを「さやか嬢」とは呼ばないようにお願いします笑

 

それでは、今日も読んでくださったみなさまへ、最大級の愛をこめて。

 

さやか

 

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