「アインシュタインより愛を込めて」に一番近い作品は「グリザイア」シリーズだと思います

エロゲ

10月28日に発売されたエロゲ「アインシュタインより愛を込めて」の話です。

 

巷での評価は微妙で、その理由もよく理解できるのですが、個人的にはかなり楽しめました。

この記事はどちらかというと作品紹介というよりは「自分はこんな風に過去作品思い出しながら楽しんだよ」って感じの自分語りになります。

 

未プレイの人向け → 「アインシュタインより愛を込めて」ってどういうゲーム?

未プレイの人向けには、本作品のシナリオの内容についてはこちらにまとめてありますのでご興味があればお読みください。

 

はつゆきさくらの新島夕の最新作「アインシュタインより愛を込めて」体験版プレイしてみた - DLチャンネル みんなで作る二次元情報サイト!
「WORLD END ECONOMiCA」の主人公みたいな、高みを見ようとして足元見えてない系の主人公なんだけれど 体験版の時点ではいまいち。でもこれは化ける可能性あるかなって思ってる
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継ぎ足し方式で行きます。 個別ルートはシナリオが薄味な割にいろいろと伏線をはったりエロ要素は充実していたりでシナリオとしては物足りないですが、本編の有村ロミルートに入るとかなり面白くなります。
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坂下ルートがめちゃくちゃ出来が良かったので引き続き期待しながら有野ロミルートをプレイするぞい
まさかのランス10難民救済!な「アインシュタインより愛を込めて」GRANDルート感想 - DLチャンネル みんなで作る二次元情報サイト!
ロミシナリオでクジラの力を解放する代わりに身体を失ったはずの主人公。 死んだはずの自分が再び意識を取り戻すが一体…?

 

アインシュタインより愛を込めて

 

というわけで、ここからはすでにクリアした人向けの内容です。ネタバレ注意

 

 

単体で見ると微妙な気がしますが、過去にプレイしたいろんなエロゲを思い出した

ざっくりと世界設定を説明しますと

この作品世界の地球には、地球より何千年分も進んだ文明を持つ宇宙生命体が作り上げた情報複合体が訪れています。そして、その情報複合体はクジラの姿をして小笠原諸島の近海に潜んでいます。

 

主人公(愛内周太)は、そのクジラから7年前に「鍵」というものを受け取った唯一の存在です。これにより、周太は圧倒的に進んだ宇宙文明のDBにアクセスし、情報や超能力などを引き出すことができる力を得ます。

しかし、周太が手にした力はあまりにも強大で、その気になれば一瞬で人類を滅ぼすことができるものでした。それだけの力が、ただの少年に託されたわけです。当然ながら、大人たちは彼を「世界の敵」と恐れ、監視対象とします。一方であわよくば彼を通じてクジラから情報を引き出そうともします。

彼は絶大な力を持ちながら、それを行使することが許されず、常に社会から監視されて自由に生きられない立場だったわけですね。

 

また、周太はこの力をえた代償として、「彗星病」という病にかかります。この病はクジラから情報を得る際に生じる副作用のようなものであり、周太はこのせいで7年前からずっと病院暮らしを余儀なくされ、まともな社会生活を送ることができませんでした。さらに、2年前からは普通に通学することができるようになりますが、このままでは長く生きられないという状態に陥っています。

 

ここまでの周太の状況を整理すると

①力こそ持っているものの、その力を思ったように使うことはできず、
②普通の学生として生きようにもその力ゆえに大人たちに常に監視され
③おとなしくしていても彗星病が悪化して死を迎えるか、脳手術によって命だけは助かるが数年分の記憶を失う


という感じで、どうあがいても人生クソゲー、と言いたくなるような状況です

 

さらに、周太の人生は、この力を手にする前も苛烈なものでした。研究者の父親は、ある時研究ミスによって社会から盛大なバッシングを受け、彼の目の前で自殺してしまいます(本当は殺されてるんですけどね)。

 

つまり、世界は周太から「家族」も「友達と過ごす青春」も「自分の意志に従って生きる自由」も何もかも奪うという仕打ちをした上で、世界を憎んでいてもおかしくない彼に世界を滅ぼしうる力と、世界の真理を見通せる圧倒的な知識への扉への鍵を彼に預けているというわけです。

 

 

もうこのあたりの設定を見ると、もろに「最果てのイマ」を思い出しますね……。

最果てのイマCOMPLETE

 

なお、膨大な日常描写をもとにして、人類を守る決断をする最果てのイマの主人公(忍くん)と違い、周太にはそういう日常は与えられません。周太は世界のことを憎んでいて「俺は世界を愛せない」とはっきり言ってます。いずれ自分は世界を犠牲にして扉の向こうへ消え去ってしまうだろうとずっと思っていました。

 

「ONE」の「えいえんのせかい」のように。

 

 

周太の抱えた人生に対して無力なヒロインたち

これほどのものを抱えている周太に対して、並みのヒロインにできることなどありません。

「グリザイアの楽園」という作品では主人公に救われたヒロイン5人が、さらに主人公の最愛の姉一姫に先導される形で総力を結集して絶望の淵に沈んだ主人公を助けるという展開がありましたが、そのくらいのことをしなければ主人公を助けることって無理なんですよね。

グリザイアの楽園

ただし「グリザイア」三部作は、ヒロインたちによる主人公の壮大な救出劇を描くためにトータルで80時間ものボリュームで日常描写から各ヒロインの掘り下げまで行っています。

 

これに対して、本作の各ヒロインたちの持ち時間はわずかに2時間程度。焼け石に水でしかありません。実際4人いるヒロインの内3人は、GRANDルートでそれほど大きな役割を果たしていません(坂下だけは活躍していますが、個別ルートがリセットされているので納得感が凄く弱いです)

 

唯一頑張るのが、幼少期に主人公に救われ、主人公のことを愛していた「有村ロミ(比村茜)」という少女です。彼女だけは自分の生命をかけて彼にぶつかります。 そこまでやっても彼女は自分の力が及ばないこと、周太を止められないことを受けいれています。彼女は彼が世界を滅ぼすことは阻止しようとするものの、彼が消失することは止めようとしません。それどころか、彼が消失する際には彼と運命を共にしようと決意しています。

「まどマギ」なみのヤンデレぶり

 

ヒロインに助けてもらえない周太は自分で自分を何とかするしかなかった

ここから先の展開ですが、「ランス10」の第二部によく似ています。

RanceX 決戦

 

ランス10の最終局面において、限界を迎えた次期魔王候補である美樹を救うためにランスは魔王の力を継承します。しかしそれによって魔王となったランスは絶大な力を得る代わりに人間絶対殺すべしというクジラの呪いをかけられます。この際、ランスを支える存在であるはずのシィルは死んでしまっており、ランスはただ意地だけでクジラの呪いに抗い続けます。

結局シィルは生きており、心の支えを取り戻したところであらゆる能力をドレインする大怪獣クエルプランに魔血魂を吸い取らせる形でランスは元に戻り、その後最終決戦で魔血魂をのものを破壊するという展開になります。

 

同じことがこの「アインシュタインより愛を込めて」で実現します。

 

周太はクジラから「魔王」の力を押し付けられ、世界の敵として扱われます。この状態で人類を滅ぼすという誘惑にずっと耐え続けます。しかし、とあるタイミングでクジラに取り込まれて魂だけの存在になった状況で、「光部分だけ」を抽出して機械の体(アインシュタイン)に移植。 これによって、周太は「魔王の縛り」から解放される。その上で、分離した魔王部分を倒す。

 

こうやって、エロゲ(ギャルゲ)でありながら、ヒロインに救済されるのではなく、自分で自分に始末をつけるというめったにない展開になりました。

「周太は、私という侵略者から世界を救ったのです。
周太は、弱い自分を討ち果たして、世界の崩壊を止めたのです 。
私たちの星がもたらした侵略のプログラムを彼は打ち破った。
こんなこと、きっと彼以外の誰にもできなかった。
手を伸ばせばすべてを手に入れられる境遇を捨てて
苦しみの果てに彼は消えていきました。
そうして、彼が世界を救ったんです。
きっと、この星の誰も知らない。
彼がどれだけ立派だったかを。
でも、私は、誰かに伝えたかったのです。
あなただけでも、覚えておいてあげてほしい。」

 

そういう意味では、本作品は「君が呼ぶ、メギドの丘で」の再来だったのかもしれません。

君が呼ぶ、メギドの丘で

 

エピローグは主人公をひそかに支えていた真のヒロイン「アインシュタイン」の正体が明らかになります

というわけで、ギャルゲーなのにヒロインが極端に弱かったため、主人公である周太に強い負荷がかかる作品だったわけですが……これだけだとタイトルの「アインシュタインより愛を込めて」ってなんじゃ?ってなります。

 

実は、この「アインシュタイン」というのは、「アインシュタイン」というマシンの中に宿っていた彼の父親の魂です。父親は周太が幼いころなくなっています。彼の研究を邪魔だと思った組織によって殺されたのです。クジラの力を無理やり渡されたことと庇護者である父親の死の両方が重なったことで、その後の周太の人生は過酷なものになりました。

 

しかし、父親は身体は死んでも、自分が開発した「モーメント」というマシンに魂を乗り換え、ひそかに彼を見守っていたのです。残念ながらモーメントは数回使ったらすぐに魂を消耗しきってしまいます。

 

だから父親は周太がつらい目に合っていても基本的にはじっと見守るだけ。ただし彼を守るために最大限効率的に自分の魂を使います。
①周太の心が本当に折れそうになった時に1度だけ声をかける
②周太を殺そうとする「組織」の連中をけん制するための一手を打つ
③最後の最後で彼を守るために残りの魂を使う……。

目立たないけれど、周太を真の意味で救っていたのは父親の愛だったというわけです。

 

ってもうこれグリザイアの風見一姫じゃないですかヤダー

 

そう……この「アインシュタイン」こそが真のヒロインだったというわけです。

このオチのために、それ以外のヒロインが妙に弱く設定されていたんですね。最初は有村ロミこそが「風見一姫(ロリ姉にしてママ)」ポジションかと思っていたのですがそれはひっかけで、その先に真の「風見一姫」ヒロインがいた。すべては、周太のために人知れず組織との戦いを行っていた「アインシュタイン」を最後の最後でドーンと打ち出すためだった、と。

 

そういう意味だと結構すごいと思うんですが、これはギャルゲーとしては禁じ手ではないんだろうか?とは言いたくなりました。 

 

いやまぁ過去にもそういう作品がなかったわけではないですが。

「ひと夏のサイエンスラブストーリー」という売り出し方をしておいて、最終的に「世界の敵とされ、あまりにも重い運命を背負わされ、ヒロインたちですら救いきれなかった主人公を父の愛が守る」というオチはさすがに納得いかねえええええ!!(笑)

 

 

それさえなければ、本当にいい作品だったと思います。

 

 

語りたいことがいくらでも湧いてくる楽しいゲーム体験でした

という感じで過去にエロゲをやっていると、いろんな作品が思い起こされるという意味ではプレイしていて非常に楽しめました。他にもいろんな作品をふりかえりながら語ってみたくなる作品でした。

 

と、いうわけで、今回は作品紹介そのものというよりは昔のいろんなエロゲ語りになってしまいましたが、いつもはちゃんと作品紹介してますのでよかったら他の記事も読んでいってくださいませ

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